雨の日の登山対策(登山中に雨が降ってきた時の対策と実践)

登山を予定していた日、雨の予報だったら皆さんどうされてますか?

①登らない
②登る
この2択ですね。

①登らない、というのが一般的です。雨の日の登山は眺望も望めず、良いことはありません。そんな日は割り切って温泉や観光に切り替える。または街中で別の用事を済ませたり。多くの方がそうされているかと思います。

一方②登るという選択肢もあります。
今後登山を続け、より難しい山を目指される方ならなお、易しい山から雨の日登山を経験しておくべきです。

『春から始める初めての登山教室 第3回 山での変わりやすい天気を体験 入笠山

雨の日登山のススメ

今後憧れの山に登る。例えば富士山頂や日本アルプスの3000m峰。それまでの登山経験で雨の経験が無いまま「本番」の雨に遭遇すると、相当難儀します。場合によっては命にかかわることも。

そこで「本番前」の低山やトレーニング登山の時に、雨経験を積んでおくことをお勧めします。雨の日の登山は技術を要します。スキと無駄のない雨対策、レインウェアやザックの防水機能の限界を知っておくことはとても有益です。

雨の日登山のシミュレーション

山の上では晴れの予報でも雨に降られることが多々あります。そういう時は同時に風が吹くことも多いです。
それまで晴れていたのに視界が急になくなり辺りは真っ白に。そして雨粒がポツポツと降り始める。
いつ雨具を着ればよいかも悩ましい所ですが、いざ決心して雨具を着ようとザックを降ろし雨具を取り出そうとすると・・・

失敗1)雨具をザックの一番底にしまっていて、他の荷物を取り出さないと雨具が取り出せなかった

失敗2)雨具を取り出すために他の荷物をザックの外に並べたら雨でびしょびしょになった。または置いた物が風で飛ばされてしまった

失敗3)雨具のパンツ(ズボン)を履こうとしたら靴が裾を通らず、よろけそうになった。転んでしまった。結局登山靴を脱いでから雨具のズボンを履いた

失敗4)ゲイター(スパッツ)の付け方がわからない。どっちが上下?左右に違いはあるの?ゴムは踏んでよいの?

失敗5)ザックカバーをつければザックの中は大丈夫?中にしまってあるカメラやスマホ、濡れないかとても心配

難易度の低い登山でこのような失敗を重ね、疑問を解消しておくことが今後の登山に大いに役立ちます。


「この靴は防水だから」「雨具はゴアテックスだから」と、高価なギアを購入したら、なんか技術や経験も向上したような気持になるものですが、道具は正しく使うことで機能が初めて活かせます。正しく使うためには相応の回数、試行錯誤をする必要があるようです。

曇天の中での歩行中、突然雨が降り始める。
慣れている方は3分以内に雨具を装着完了。不慣れな方は10分以上を要した。
雨具のポケットのファスナーが全開だったり、ゲイターの上下がさかさまだったり、ザックカバーが固定されてなかったりの失敗が多かった。

雨具をしまう場所

a)雨具をザックの一番底にしまっていて、他の荷物を取り出さないと雨具が取り出せなかった

ザックの上部(雨蓋のすぐ下)は、登山中に出番の多いものを収納することが多いです。ペットボトル、行動食、フリースなどの防寒着・・・そうなると雨具類は必然的にザックの下の方に埋まってしまいます。

登山中に天気が崩れるような予報だったり、休憩中に雨が近づいてる兆候があれば、雨具の場所を普段より上の方に移動をさせておきましょう。

雨の日のパッキング

b)雨具を取り出すために他の荷物をザックの外に並べたら雨でびしょびしょになった。または風で飛ばされてしまった

雨具一式とは
・レインウェア上下
・ザックカバー
・ゲイター
・ビニール袋
・タオル
またオプションとして防水手袋、帽子などがあります。

これらを一つのスタッフバッグ(巾着袋)に入れておけば、ザックから取り出すのがより簡単になります。バラバラに入れておくと全てを取り出すまでに手間と時間がかかり、着用するまでに服だけでなく頭もザックの中も雨でびしょびしょになってしまいますので。

雨具のパンツ(ズボン)の履き方

c)雨具のパンツ(ズボン)を履こうとしたら靴が裾を通らず、結局登山靴を脱いでズボンを履いた

ザックに雨具を入れる段階でファスナーを全開にしておくことです。ファスナーを閉じていたり、半開の状態では靴を履いたままの脱ぎ着ができません。

また、すでに有名な対策ですが、レジ袋などのビニール袋(大)を靴に被せてパンツをはく技。靴についた泥でパンツの内側を汚すことなく履くことができます。また摩擦の大きいゴム製の靴底がパンツの裏側に引っかかることなくスルリと履くことができます。

濡れた雨具をしまう際にも他の荷物を濡らさないためビニール袋が必要なので、雨具のパンツのスタッフバッグには2枚ほど大きめのレジ袋を小さく折りたたんで忍ばせておくとよいでしょう。

ゲイター(スパッツ)の装着方法

少し前まで「スパッツ」と呼んでいたパンツの裾部分の防水具を、最近ではゲイターと呼ぶようになりました。
代わりにスパッツはCW-Xのような腰からくるぶしまでの長さのタイツのような衣類を指すようになりました。

d)ゲイター(スパッツ)の付け方がわからない。どっちが上下?左右に違いはあるの?ゴムは踏んでよいの?

ゲイターは登山に出発するまでに、家で着用してみることをお勧めします。
ゲイターも色んなタイプがありますので、雨の降る中初めて装着を試してみるより、やはり快適で安全な家の中で試します。ポイントは以下です。

・ゲイターには上下がある。下には登山靴の靴底の下に通すひもやゴムがあるデザインが多い
・ゲイターには左右がある。ファスナーや長さ調整の金具があるのが両足の外側に来るようにする。内側はこすれたり干渉しないようファスナーや金具が来ないように装着する。
・ゲイターを装着したら、歩行中にずれ落ちないよう、なるべく上に引っ張り上げる。締め付け調整用のゴムやマジックテープがあれば適度な強さで調整しずれ落ちないようにする。
・ゲイターの中には足の甲の部分に靴紐に引っかける金具(フック)がある場合がある。これはゲイターが逆に上にずり上がらないためのもの。あれば縛った靴紐の一部に引っかける

と、ゲイターのメーカーやグレード、無雪期用・積雪期用など用途に応じて機能がたくさんあったり、シンプルだったりと一概に説明付かないのがゲイターです。購入時についてくる説明書を見ながらぜひ出発前にお試しください。

ザックカバーの効果

e)ザックカバーをつければザックの中は大丈夫?中にしまってあるカメラやスマホに悪影響無いの?

ザックカバーの防水性能は限定的です。新品のものであっても、ザックの中への浸水や沁み込みを完全に防ぐことはできません。これはザックカバーにかぶさらないザックのショルダーハーネス(肩ベルト)やウエストハーネス(腰ベルト)が雨に濡れ、そこからザックの中にしみ込んでくることもあります。

水にぬらしてはいけないものは必ず防水袋で密閉してからザックに入れましょう。
・スマートフォン
・モバイルバッテリー、USBケーブルなどの電子機器類やパーツ類
・上着、着替え、タオルなどの衣類・布類
・財布やお札類
・防水でない紙類(家庭用プリンタで印刷した地図や行程表)

これらは山の中での出番の順序や頻度に応じて水を通さない袋で小分けし、パッキングをしましょう。

防水袋とは
・登山ショップで売っている防水スタッフバッグ
・ホームセンターなどで売っている厚手の重量感あるビニール袋
これらを一番外側に、更に内側にジップロックのような密閉式のビニールバッグで二重にするとさらに安心です。

下山する頃には雨雲も過ぎ去り真っ青な青空も覗くように。
今咲き頃のスズランが美しかった。

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